周産期医療体制

 我が国の妊産婦死亡率は4.4(2004年、出生10万あたり)、周産期死亡率は3.3(2005年、出生1000あたり)と非常に高い水準の周産期医療を提供できており、この数値は世界からみても、非常に低い値といえます。
 当院におきましても、平成25年4月にMFICU( Maternal-Fetal Intensive Care Unit:母体・胎児集中治療管理室)を開設し、ハイリスク妊娠(母体合併症妊娠、多胎妊娠、切迫早産、前期破水、妊娠高血圧症候群など)・ハイリスク分娩・産褥の方を対象に、より安全に配慮した適切な医療を提供できるように努力しております。
 また、超音波・CT・MRIなどの画像診断を中心に、羊水検査・母体血を用いた出生前遺伝学的検査などの出生前診断技術の向上に努めるとともに、NICU(新生児集中治療室)や遺伝カウンセリング室のスタッフとの連携を強化し、全ての妊婦さんに対し安全かつ安心な出産および育児をサポートできるよう診療体制の構築を図ってまいりました。

 当院の分娩数につきましては、平成19年5月に産科専用病棟(すべて個室)を開設して以来、年間500件前後で推移しており、通常分娩からハイリスク分娩まで対応しております。また、産科病棟のスタッフは助産師を中心として編成されている強みを生かし、母乳相談をはじめとした分娩後のお母さんの悩みにも気軽に相談できる体制となっております。

基幹病院としての役割

現在は愛知県周産期医療協議会を介して、愛知県内の母体搬送協力システムに参加し、多くの施設からの母体搬送を受け入れております。さらには、産科およびNICUの受け入れ状況が随時インターネットで配信され、病診連携の効率化を図っております。

平成24年度の実績

  • 分娩件数        :502件
  • 帝王切開        :225件(帝王切開率 44.8%)
  • 多胎          :双胎34件
  • 母体搬送受入数     :56件
  • 母体偶発合併症     :130件
  • 産科合併症       :268件
  • 妊娠28週未満の早産  :13例
  • 死産          :4例
  • 1500g未満の早産児  :23人
  • 胎児異常        :24例

今後の抱負

 我が国における平成24年の出生率は1.41と、16年ぶりに1.4台へ回復したとの報道がありましたが、出生数自体は103万7101人と前年より1万3705人減っている状態です。さらに、初産妊婦の分娩時の平均年齢は30.3歳と過去最高となっており、晩婚化とそれに伴う初産年齢の高齢化は歯止めがきかない状況です。
 このような状況であるからこそ、1人1人の妊娠・出産に対する想いを重視し、より良い時間をお母さん、お父さん、スタッフ全員で共有できるように、安全かつ安心な医療を提供していく事が我々の責務と考えております。