婦人科腫瘍

 子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんは婦人科がんの中でも頻度の高いがんです。これらのがんについて当科の治療方針をお示しします。



子宮頸がん

 子宮頸がんでは手術、放射線治療が主たる治療方法ですが、抗がん剤を組み合わせて行う集学的治療を行うこともあります。手術においては従来より、病期に応じて拡大子宮全摘手術、準広汎子宮全摘出術、広汎子宮全摘出術を行います。平成25年より低侵襲治療としてロボット支援手術も開始しました。放射線治療は骨盤照射・腔内照射設備を整えており、放射線科との共同で治療にあたります。
 最近では20-30歳台の若年者の子宮頸がんの患者さんが増加傾向にあります。この年代は妊娠・出産年齢と同期しているため、妊娠する能力を温存できるか否かが重要なポイントになります。そのためには治療前診断が非常に重要となります。子宮頸部初期浸潤がんに対しては子宮頸部円錐切除術や子宮頸部摘出術などの機能温存治療を導入しています。

子宮頸がん症例数

※子宮頸がん症例数




子宮体がん

 子宮体がんの治療は手術が基本となります。手術により病変の広がりを確認し、その後の追加治療の有無を決定します。追加治療としては抗がん剤もしくは放射線治療が選択肢として挙げられます。早期子宮体がんは低侵襲手術の良い適応であり、当科では積極的に腹腔鏡手術をお勧めしています。

子宮体がん症例数

※子宮体がん症例数




卵巣がん

 卵巣がんは無症状で早期発見の難しいがんです。日本でも増加傾向にあり、当科の治療症例数も増加傾向にあります。卵巣がんの診断は超音波、CT,MRIなどの画像検査が重要ですが、最終的には手術によって腫瘍を摘出し、その腫瘍の広がりと性格(組織診断)によって診断が確定されます。当科では根治性をめざし腫瘍をなるべく摘出するという方針で手術を行っています。状況に応じ手術の前に抗がん剤を投与する場合もあります。術後は抗がん剤を用いて治療成績の向上を図ります。抗がん剤の種類としては従来より、シスプラチン・カルボプラチンといった白金製剤、そしてタキサンと呼ばれる微小管作用抗がん剤が主として使われてきました。今後は抗VEGFヒトモノクローナル抗体のベバシズマブの組み合わせによる治療効果も期待されていますので、適応を慎重に検討し投与を計画していきます。

卵巣がん症例数

※卵巣がん症例数



当科の治療成績

当科で2005年1月〜2009年12月に治療を行った子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌患者の治療成績