藤田保健衛生大学医学部産婦人科講座は初代福島穣教授、第二代河上征治教授、第三代宇田川康博教授のご指導のもと教育、臨床、研究に多大なる貢献を挙げてまいりました。そして平成25年4月からは私、藤井多久磨が第4代として担当させていただいております。
 大学病院として若手医師の育成は非常に重要なことと捉えています。医師として患者
さんの気持ちがわかる、患者さんの視点に立った医療を展開したいと思います。医療は
ますます高度化していき、いろいろな技術、手法が開発されています。そのため知識や
技術を習得させることが医学教育のすべてであるととられがちですが、目の前の患者さんにとって何が一番大切なことなのか、考えることができる人間が必要とされています。人間として魅力ある医療人の育成に努めたいと思います。そのうえで、個々の医師がそれぞれの専門性を高めることで、患者さんにとって最良の医療を提供できると考えています。

 医育機関では「教育」、「臨床」、「研究」をそれぞれ「過去」、「現在」、「未来」という切り口で語ることができます。
「過去」とは今まで築き上げてきた経験則やエビデンスに基づいた医学知識を体系化し未来を担う若手医師に教育することです。現代の医学が今日あるのは先輩たちが過去に行ってきた努力の賜物であり、これは大切にしたいと思います。各疾患のガイドライン等には習熟しておく必要があります。
「現在」とは目の前にいる患者さんに最良の医療を提供することです。患者さんに心身ともに満足していただけるよう、臨床の現場で働いている医師は日々研鑽する必要があります。我々の講座では以前より、産婦人科手術の低侵襲手術に積極的に取り組んでおり、これをさらに推進したいと思います。また平成25年4月より母体胎児集中治療室、地域周産期母子医療センターが稼働することとなりました。愛知県周産期医療連携に大きく貢献できるのではないかと期待しております。
「未来」とは10年後、20年後の医療に貢献できるような研究をすることです。そのためには今何が医療の現場で不足しているのかとう問題意識を常に持っていることが重要です。医学の発展に貢献できるような研究を推進したいと思います。

 今、産婦人科医師の減少や不足が大きな社会問題となっています。我々の社会的使命は元気で明るい産婦人科医師を育て、次世代へと続く産婦人科学講座を築き上げることです。新体制でスタートした我々の講座です。黎明期というのはどこの世界でもチャンスが転がっています。日本全国から、産婦人科を志望したい人を歓迎いたします。

藤井 多久磨 教授
Takuma Fujii